空対空兵装32発搭載のF-16が公開される。安価な誘導ロケット弾がもたらす変革
・戦闘機の対ドローン戦闘が大幅に増加
・既存の空対空ミサイルは高価かつ手数が少ない
・誘導ロケット弾APKWS
・新しいAPKWSの空対空任務での有効性
・既に始まっている運用の拡張
近年の航空戦においては、自爆型ドローンや巡航ミサイルといった新たな脅威との交戦機会の増加に直面しています。2024年10月1日、イランがイスラエルに対し、200発を超えるミサイルとドローンによる飽和攻撃を敢行した事例は、この傾向を顕著に示しています。また、ウクライナでは2024年12月13日にF-16戦闘機によって1回の出撃で6機のドローンを撃墜したという報告があり、航空戦力による対ドローン戦闘が常態化しつつある現状を浮き彫りにしていると言えるでしょう。これらの事例では、ミサイルに加え機関砲も使用されたことが示唆されており、多層的な防空戦略の必要性が改めて認識されます。
このような状況下において、従来の空対空ミサイルに代わる、より経済的かつ大量運用可能な対ドローン兵器として、APKWS(Advanced Precision Kill Weapon System)が注目を集めています。

画像:BAEシステムズ
【航空軍事記者 関賢太郎からのお知らせとお願い】軍事における航空分野の情報発信をテーマにニュースレターを開始しました。本記事を含め当面無料記事を多めに出していきますが、活動費・資料入手費等のサポートをお願いしております。サポート額は最低額以上は読者さんが自由に設定することができ、いつでも変更・解約ができます。私の記事を少しでも読みたいと思ってくださる皆様、これからも書き続けることができるように、執筆活動を支えていただけないでしょうか。また、お知らせのための登録だけなら無料ですので、是非、以下ボタンからご登録ください。
航空戦力の「手数」の課題
現代の戦闘機に搭載可能な空対空ミサイルの数は、通常6~10発程度です。これは、数十機規模のUAVによる飽和攻撃に対処するには、必ずしも十分とは言えません。特に、ドローンを運用する勢力が、飽和攻撃を目的として多数の機体を投入する場合、従来の空対空ミサイルでは迎撃能力に限界が生じます。さらに、1発あたり数千万円から1億円に及ぶ空対空ミサイルのコストは、数百万程度のドローンを迎撃するには費用対効果の面で課題があります。この問題を解決するためには、より安価で大量運用可能な迎撃手段の確立が不可欠です。